小説

【夢野久作】ドグラ・マグラ

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概要

ドグラ・マグラとは夢野久作が書いた小説。1935年1月、松拍館書店にて発売された。

日本探偵小説三大奇書の1つに入るほど個性的な小説とされる。

タイトル「ドグラ・マグラ」の意味はキリシタンバテレン呪術からくる長崎の方言である「堂々めぐり」とされる。

執筆期間

執筆期間は10年以上であり1935年に刊行された。

あらすじ

私と若林

大正15年、九州帝国大学医学部精神科の7号室に入院している記憶喪失の“私”。朝方、精神病で苦しんでいた。

若林と会い精神病について聞き正木が創設した「狂人の解放治療」の実験するのに貴重な研究材料としてうってつけであり協力してほしいと頼まれた。私は内容を聞いて警戒するも若林は正木が私のために作った治療法と聞いて

ドグラ・マグラ、殺人焚殺の絵、斉藤の写真を見た私は若林から狂人の解放治療は20年も計画されていたことを聞く。そして、若林の恩師斉藤と正木が変死したことを聞く。ついでに6号室の美少女が連れてこられた。

そして日付は大正15年11月20日。私は解放治療の実験の結果報告

正木の生涯

狂人解放治療場は完成されていく最中、脳髄論の取材、死ぬ前に書かれた遺書、実験について最も適した人間「呉一郎」の発見、呉モヨ子の身代わりとなった美少女の死体。

他に胎児の夢、キチガイ地獄外道祭文の全文が記されている。

一郎の起こした事件~絵巻の逸話

一郎の経歴および最初の事件、第二の事件における事情聴取。

若林は呉一郎を覚醒させ、正木が利用したとして犯人しようとした。正木は対策として呉一郎の記憶を思い出させ対抗した。

正木は“私”があまりにも正直すぎてからかう他、解放場が閉鎖されていること、呉青秀が書いた絵巻と逸話について話す。

そして、告白した……。

登場人物

7号室に入院している記憶喪失の男。一人称「僕」。

正木が創設した「狂人の解放治療」に協力を若林に頼まれるも内容を聞いて警戒するも若林は経緯を聞いて私の記憶を呼び出すためと教えられた。

しかし、狂人の解放治療が主人公のためのものに疑問を感じる。

若林鏡太郎(わかばやしきょうたろう)

九州帝国大学法医学教授にして医学部長。

独身。

千葉県出身で正木と同郷。九州帝国大学第一回入学生。18年前(大正13年)に正木から学部長になるよう頼まれた。

正木と同期だが崇拝している。

私に「狂人の解放治療」を受けるよう協力させた。

正木敬之(まさきけいし)

九州帝国大学精神病化教室の主任教授。故人。

独身。

千葉県出身で若林と同郷。九州帝国大学第一回入学生。

喫煙者で葉巻を使用する。

日本以外に世界の学会に影響を及ぼし精神病の研究に対して革命を起こす「精神科学」に対する新学説を樹立した。

異様な考え方を持ち「地球表面上が狂人の一大解放治療場」となっていると本気で思い込んでいる。脳髄は危険なものと判断している。

「狂人の解放治療」創設者で私の記憶を治すものらしい。この治療方法のヒントはバルカン半島を旅行した時に会った女祈祷師イスメラから伝授された。

20年前に論文「胎児の夢」を書く。これが、狂人の解放治療の原点とされる。

種の起源、相対性原理と同等の価値がある3万字で書かれた論文「脳髄論」を発表。

大正14年10月20日に筥崎水族館裏で投身自殺していた。前日に遺書を書く。

斎藤寿八

正木、若林の恩師にして元教授部。引退しておりその座を正木に渡した。

若林が言うには正木の考えについてこれないらしくあきれていた。

大正14年10月19日に筥崎水族館裏で溺死した。前日はいたって普通だった。

美少女

6号室の美少女。

谷警部

通称「鰐警部」とあだ名されている警察。呉一郎の殺人事件に携わる。

甘粕藤太

柔道四段の監視人。

かつてアメリカで肺炎を患い苦しんでいたところを正木に助けられ以後、正木の働く九州帝国大学で働く。

呉と関係者

呉一郎

明治40年11月20日生まれ。

顔や風采と性格がモンゴル、インド、マレイシア、ユダヤ、ラテン、アイヌ、スラブ等から来ており

生まれは東京の駒沢村にいたが、父親を見たことがない(父親のことを母に聞こうとしたら泣いたためわからず)。

引っ越しで金杉、小梅、三本木、麻布の笄町、福岡県鞍手郡直方町日吉町となっている。

実母を絞殺するも若林の助けで無罪、2年後に許嫁のモヨ子を絞殺。錯乱状態で若林、正木と会い2人を父と言ってしまうほど狂っていた。

呉千代子

一郎の母。女塾の主人。36歳。

実家は姪の浜で農業をしており姉の八代子とともに暮らしていた。両親ともに早く死んでいる。

東京で絵と縫取りの警告へ向かったと置き手紙を出し東京へ向かった。

17~18歳の時に翠糸女塾に通い偽名「虹野ミギワ」と名乗り通っていた。

大学生時代は男食らいだったらしい。夫を憎んでいるが、一郎に夫のことを聞かれると泣き始める。

女塾の主人でありながら一郎の成績に関して嫌っており興味を示さない。

一郎に絞殺された。葬式は大正13年4月2日に行われた。

呉モヨ子

一郎の許嫁。死んだと思われるが生きている。

呉八代子

一郎の伯母でモヨ子の母。夫の名は源吉だが死去している。

実家の農業を継いでいる。農業だけでなく養蚕、養鶏と広げており「大百姓」と言われるほどの逸材。

モヨ子死亡で狂乱しており仙五郎から心配されているほど。

松村マツ子

福岡市外水茶屋翠糸女塾の主人。

30代の時に虹野ミギワと名乗った千代子に刺繍を教え高い力を見て褒めていた。

事件が発覚するまで虹野が千代子と知らなかった。

松村の取材は脱線しているため意味なかったが若林は意味があるとして記録している。

戸倉仙五郎

八代子が雇っていた農夫。55歳。

呉家に関して詳しく知っておりモヨ子殺害に酷く動揺していた。

虹汀(こうてい)

四十九代呉一族の中興の祖。本名「坪太郎」。

26歳の時に虹の松原にちなんで「虹汀」と改名する。28歳で呉家の六美女と結婚する。

しかし、六美女から呉家の男たちが早死したことを聞いた。災いを起こす青秀の巻物を焼き払った。が、1つだけ残ってしまい如月寺へ保管する。

呉六美女

虹汀の妻。美人らしい。

二人の兄がいたものの奇行を起こし早死した。

呉青秀

唐の時代にいた青年進士。絵の天才として名を馳せていた。

貸子と結婚した。

玄宗皇帝に疑われ貸子を絞め殺す(貸子にお互いに死のうと嘘の約束をした)。貸子を絞め殺し20枚の絵を書き皇帝に献上し喜ばれた。

しかし、未完成であり遺体を見に行ったら腐り果てており代わりを探そうとして死に物狂いで行くも断られた。

しまいには風貌が代わり「淫仙」と名付けられた。あきらめずいまだ執着している。

死体を求め一度目は失敗に終わる。二度目は少女を殺し捕まえたが百姓たちに囲まれ暴れて逃亡できた。家に戻り絵巻を書こうとしたが百姓たちが後をつけて放火した。

青秀は未完成の絵巻と妻の髪の毛、貴妃の夜光珠、青ろうかんの玉、水晶の管を持って逃亡。1年振りの都に着き自宅に帰った。

家には貸子似た姿をした貸子の妹「芬子」がいた。妹に真相を知られ殺すよう責められるも泣いた。

その後は船に乗り暴風雨の最中に2人とも生き残り、別の船に助けられ日本の唐津に行き難波の津に勃海国へ向かう船に乗る。

貸子

青秀の妻。青秀が皇帝から疑いを晴らすため殺された。

芬子

貸子の妹で容姿は同じ。夫婦仲が良かった2人がどうなったのか気になり姉を装う。

金は夫婦の家具や家財、衣服を売る。しかし、姉が着ていた赤い服と宮女時代の服だけは残した。

青秀の反応を見て姉が死んだことを確信し殺すよう責めた。

その後は船に乗り忠雄を出産。

呉忠雄

芬子と青秀の子。船で生まれた。

用語

狂人の解放治療

正木が発案した治療方法。脳髄に関わるものらしい。

2月に九州帝国大学に赴任して設計に着手し7月に完成。

1ヶ月前の10月20日に正木がなくなり閉鎖されたが、私の記憶を回復させるための治療方法として正木が前もって計画していた。

計画は20年前からとされ原点は正木が書いた卒業論文「胎児の夢」とされる。

胎児の夢

正木が20年前に書いた卒業論文。日本語の他に英語、ドイツ語、フランス語を使用。

主人公は胎児におびえているらしい。

テーマは要約して「胎児の時に見た夢は肉体、精神のあらゆる場所に残っている」。

ドグラ・マグラ

九州帝国大学の本棚にあった本。著者は若い大学生の患者だが名前は書かれていない。

最初の一行が「……ブウウ――ンンン……ンンンン……」で最後の行もこれ。

内容はまったく読めたものではない。しかし、論文にも近くあらゆることが書いてあるため何かとはわからない。

モデルは若林、正木らしい。

殺人焚殺の絵

裸になった女性、老人、若者の順で縛り付けられ足の下にある薪から火が燃え上がっていた。

キチガイ地獄外道祭文

当時の精神病患者に対する虐待及び精神病院内の実情を書いた論文。

製作者はオーストリア理学、ドイツ哲学、ブランス文学博士面黒楼万児。

全文は作中に書かれている。

脳髄論

斉藤が3万字で書いた論文。胎児の夢とはテーマが逆とされる。

意味の取り違いを防ぐためドイツ語、ラテン語を使用している。

内容は脳髄に関する危険性を説いたり、メカニズムについて独特に書いている。

呉家

福岡県で農業をやっている一族。八代子が先祖の畑を受け継ぎ蚕、鶏に手を出し成功を収める大百姓となる。

虹汀が青秀の残した巻物を燃やし尽くしたが、1つだけ残り如月寺へ保管した。

変なシーン

1.主人公が思い出した記憶は「1千年前のご先祖に当たる記憶で義理の兄の“私”と令嬢と同棲していた」。不倫して恨まれた。

結末

犯人

モヨ子、千代子を殺害したのは……正木で私に答えた。

最初の事件は麻酔剤を使用し呉一郎を眠らせて千代子を殺害。これは第二の事件の前段階である。

第二の事件はモヨ子を八代子を利用して呼ばせモヨ子を殺害。モヨ子は若林の実験で生き返るも気が狂っており6号室に入れた。

正木の目的は「絵巻通りの殺人及び呉一郎の完全な発狂」。いわば科学実験。

若林は正木でなければ無理だろうと調べ上げていた。しかし、この実験に若林が関わっていた部分もあり同罪であった(モヨ子隠蔽)。

正木の話についてこれず“私”は気が動転していた。正木は一郎が無罪であることを証明するための証拠は揃え、せめてこの事件の真相は第三者の手で明かしてほしいと伝える。

モヨ子と結婚を勧められたが私は断り「こんな研究に巻き込まれた」ことへの怒りと悲しみが溢れた。

私は自分が呉一郎であろうとどうでもよく、ただこんな研究に巻き込まれた怒りしかなかった。

解放場の殺戮

解放場で起きた殺人事件。

足立儀作(仮名60歳)がすてた鍬を見た呉一郎が鍬を奪い浅田シノ(仮名17歳)を殺害。政治好きと宗教好きの2人が取り押さえに行くも返り討ちにあう。

監視人で柔道四段の甘粕藤太がすきを突いて取り押さえようとするも抵抗が強く失敗。が、女性患者の作った落とし穴にかたしを踏み込んで倒れた。

が、起き上がり鍬を持って女性一名殺害。もうひとりの女性は女王姿だったため呉一郎を威圧しひざまずかせ女性を揚貴妃と言って鍬と浅田の死体を持って一礼するも医員に鍬と浅田を奪われる。

一郎は正木に父さんと言うも意味不明な発言ととらえられた。

呉一郎は7号室に戻り自殺。

その後

甘粕は辞表を出し鳥飼村で療養中。

呉一郎の自殺、呉モヨ子の死亡で錯乱した呉八代子は燃えている如月寺で身投げし死亡。


で、これはどういう視点

最期の言葉を考えて「胎児の妄想が結論」だろうと思われる。

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